かころぐ

旅行記録と日記と漫画の感想。ネタバレもあります。

横島・田島(広島県福山市)2023.2

 福岡から友人氏が遊びに来るというので、せっかくなら面白そうなところに連れて行こうと思い、海上の宿こと横島にある「海上センターうつみ荘」を提案したところ食いついてくれました。その時のお話です。

宿泊した「うつみ荘」さん(干潮モード)

 横島は隣の田島とともに平成の大合併以前は内海町を形成していました。実は二輪免許を取ってから最初のツーリング先がこの横島・田島なのですが、その時は特段の印象はありませんでした(郵便局巡りの一環だったし……)。その後、『海の道 -瀬戸内海-』(杉原耕治著、渓水社)を読んで田島についての記述があり一気に興味を持ちました。以下概要です。

 江戸時代、田島の海人は操船技術の高さを買われ福山藩の水主となり、福山藩の参勤交代や幕府の朝鮮通信使の迎え入れ、長崎奉行の派遣などに駆り出されました。その見返りとして福山藩内の海の沖合で漁業を営むことを特権として認められ、田島では鯛漁が盛んになりました。鯛漁が盛んになるにつれ、田島の人々は鯛漁で使う大網の作成技術も蓄積され、麻網の産地としても知られるようになりました。ここで、大網が捕鯨に有用だったというのがポイントで、大網による漁の技術は西海(五島地方)の鯨漁をしている人々に求められました。鯛漁の季節は春の数か月と短く、鯛漁を終えた田島の漁師たちは西海に鯨漁による出稼ぎに行きました。この出稼ぎはヨーロッパから近代的な捕鯨の方法が伝わるまで200年ほど続き、その後は田島の漁師たちはフィリピンに打瀬網漁で出稼ぎに行きました。このフィリピンでの出稼ぎは、田島の第一陣の成功を聞くと横島や百島の漁師もこぞって海を渡ったそうです。この西海やフィリピンでの出稼ぎにより田島はたいそう潤ったそうで、田島の中心である町地区では、本瓦葺でなまこ壁の大邸宅が並びました。ただ、フィリピンへの出稼ぎは太平洋戦争の敗戦により終わりは散々になってしまいました。

 このことを五島に旅行に行く直前に知ったため、田島についての興味津々状態になりました。ただ、行こう行こうと思いつつ雪降る前に山陰に行ったりまだ行ったことないところに行ってたりしてなかなか機会が持てずにいました。なのでこれをいい機会と思い「広島に来るなら面白い宿があるんだけどどう?」と誘いをかけた次第です。

トモテツバス沼南線 内海農協前にて

トモテツバス沼南線 松永駅南口にて

 今回は公共交通機関で行きます。宿のある内海町には、松永駅福山駅からバスが出ています。本数はどちらも1日4往復(土日祝は福山1.5往復、松永2.5往復)なので平日なら松永と福山の近いほうからバスでいいと思います。もしくは車。

 松永駅では1日2本の鞆行きに遭遇しました。鞆の浦の狭い路地を走るのでとても興味があるのですが、朝夕1本ずつなのがハードル高いです。さて、内海農協前行きに乗ります。

 途中常石造船の横を通ったり内海大橋を渡ったりと車窓はなかなか楽しいですが、道が狭く曲がりくねっているので酔いやすい方は注意が必要です。

 

車窓から見た常石造船

車窓から見た内海大橋

宿泊した「うつみ荘」さん

 終点一つ前の「睦橋」で降りて「うつみ荘」さんへ。最初にも写真を載せていますが、その後わずか1時間でこれです。瀬戸内海は潮の干満が激しいですが、そのことを実感できます。しかも大潮でした。

 

部屋の外から海を臨む

 釣りを嗜む人は絶対好きな宿ですね。ちなみに、魚を釣ると調理してくださるということです。すごい。満潮が夜中なのと二人とも釣りは嗜まないのですが、やっぱり釣りする人が多いのか「釣りはされますか?」と尋ねられました。レンタルもできるそうです。うつみ荘さんのHPはこちら

 釣りはしないものの、これはテンション上がります。氏を奄美や悪石島に連行していったこともありますし、私は一人で何度も島の宿に泊まっていますがここまで海との距離が近い宿はなかなかありません。しかも窓を開けたら眼下に海!テンション上がらないはずがありません。

うつみ荘客室内から睦橋を臨む

うつみ荘客室内から常石側を臨む

 夜景が素敵!しかも海!最高!!!!!!!

「うつみ荘」正面

 ご飯も美味しかったし海にも囲まれて大満足でした。ちなみにランチの営業もやっており、夏はアコウ(キジハタ)の煮つけもあるそうです。アコウは食べたい、また行きます。

 

横島から見た田島

 うつみ荘は睦橋から徒歩数分のところにあります。松永行のバスが9:25発とだいぶ時間があるので、睦橋を渡り田島を散歩します。

 

田島 町地区にある内海ふれあいホール

 睦橋を渡ってすぐが田島の中心、町地区です。内海郵便局はこの町にあります。内海ふれあいホールが目を引きますが、特産センターみたいなもので鮮魚が売ってるほかレストランもあるみたいです。こういうところにあるレストランは行ってみたいですよね、胃袋がいくらあっても足りない……

 

町地区のなまこ壁邸宅

町地区のなまこ壁邸宅

  見てて癒される~~氏がいる以上完全な自由行動にはできないけど、氏もこういうのが好きなので付き合ってくれて助かります。

田島側に繫留されている漁船

 雁木がここまで段あるの瀬戸内海ならでは?かもしれません。潮の干満が激しいので。干潮のタイミングだったので、ほぼ下まで降りられましたが、まだ濡れてて滑りやすくて滑りかけてかなり危なかったです。そこは慎重に行きましょう。

 

睦橋(田島側)

 横島に戻ってきました。チェックアウトしてバス停に向かいます。小雨が降ってますが、このくらいなら傘をささなくていいので安心。

 

横島の浜売り案内

 11月から3月の土日祝は漁師さんの直売所があるみたいです。もっとも、平日なのでやってませんでしたが…こういうのいいですよね。

横島を散策

初めて見た標識

 

平和塔

平和塔側面

平和塔(就職記念)側面

 横島には平和塔という面白い塔があります。2基あって、就職記念のほうは昭和5年、時計の方は昭和24年建立ということでどちらもかなり歴史があります。時計は気圧計も兼ねているらしいです。知らなかった……

 残念ながら時間が来たので松永に戻りますが、私も氏も満足な横島・田島滞在でした。今度はアコウを食べに行きがてら、両島一周したいですね。